とかげ手帳

手帳の中身のおすそわけ

ナルステ2019暁の調べ 感想~理性と感情に挟まれて死ぬ~*ネタバレたくさんあります

 ナルステ、4年ぶりに見に行きました。一部初演からいろいろすっとばしていたので、楽しみ半分不安半分な気持ちでした。ナルボルライブで少し見ていたとはいえ、歌が入るということが想像できなかったんですよね。ミュージカルじゃないからという理由で初演見に行ったようなものだったので、ドキドキしながら一回目。

 まず、近い。

 前来た劇場が大きかった上に2階だったのもあって、舞台との近さにびびってしまった。そのせいか(?)席を一列間違えて座っていました。戸惑わせてしまって申し訳なかった……。

 しょっぱなオープニングで泣いてたのでだめです。原作を持ってくるのはずるい。生演奏迫力ある……。太鼓の音でびくっとなってしまうけれども。そこでナルトが出てきてぐっとボルテージが上がる。始まりです。

 始めに見た感想としては、展開が早い、でした。流れを知っている身としても、次々くる場面にあわあわしてしまった。さらにあっちこっちでいろんなことしてるものだから、目が、目が足りない。目の前の光景を受けとめることで精一杯でした。

 そんな中で印象に残ったのは、サクラちゃんがマジサクラちゃんってことでしたね……。かわいいだけじゃなく、一本芯の通ったニ部のサクラちゃんでした。特に後ろ姿! あれだけ存在感があるのはすごいと思った。あとはサイのお腹ですね。ライブの時も思ったけど、お腹がサイだった(?)。ナルトの「誰だって聞いてんだ!」ドスがきいてて好きです。前見たのが一部だったのでニ部だ……と感慨深くなった。「待ってくれサスケ」のところで出るサスケが一部でちょっと感動してしまった。そういう細かいところ抑えてくれるのとても好きです。「呪い殺す」実際聞くとすこぶる恐ろしいですね。狂気性が増して聞こえる。

 はい来た再会シーン。あまりスパンがないからかあっさりしていた感じはある。サスケの影がきれいだなあと思ってました。(とても薄い)いきなり「ナルトもいるのか」でサクラちゃんは呼ばなかったのが少し悲しい。ナルトの精神世界に入るとこ、サスケがナルトのことを見てなかったのが気になってしまった。テレパシーでも使ってるのか……?

 一幕最後の歌。あのメンツの中にカブトさんがいたのがすごい。「己を知ること」……こんなに内面さらけ出して大丈夫なんですか?? 「今までのサスケくんとは違うんだよ?」子どもをあやしてるみたいな言い方ですごく好き。「あんな姿になっても~」とは言ってるけど、このときのナルトの願いのためならどうなってもいいスタイルを見て、大蛇丸様取り込んだんだよな……たぶん。歌に戻るが、ここの不協和音がバラバラな目的そのものを表しているようで好きです。歌、いけるじゃんと思ったのはこのへんから。サスケパートが耳について離れなかった記憶。

 二幕です。まさかそこから来るとは思ってなかった。おっかなびっくり見てました。ナルトの「サクラちゃんと同じ空気吸えてるだけで幸せ!」聞き間違いかと思った。誰も何も言わなくて、幻聴かなって……。ちゃんと言ってましたね。限界オタクか。

 修行ナルトくんが頑張ってるのがかわいくて……。「だってばよ♪」にやられた。ドスのきいた声とのギャップ……。

 ここからあまり記憶がないので飛び飛びです。二回目以降ようやく落ち着いて見られたというか、なんというか。水月水月だったとか香燐ちゃんがかわいかったとか頭の悪い言葉しか出てこない。

 一番印象に残っていたのは、木ノ葉と蛇と暁と三つ巴になっていた「探し出せ~♪」のところ。縦横無尽にすれ違うのがニ部前半全体を表している気がして大好きな演出です。一言で言えば、クソデカ感情一方通行状態。どの想いも正しく行きつくことがないむなしさとやるせなさが詰まっている。

 デイダラ戦はハイスピードで気づいたら終わってましたね……。

 兄弟戦の記憶もあいまいで、「いい感じだなオイ」と「クソが!」のことしかメモにない。あと個人的に麒麟は大好きな術なので出るとニコニコしてしまいます。

 イタチさんは問答無用で好きなので、いろいろしんどかったですね……。受けとめることで精一杯だった。本当に。ナルトとイタチさんの会話というのがすこぶる好きで、ラストのラストにそれを持ってくるか……と構成のよさにやられました。「サスケを兄弟のようだと言ったな」の声が優しくて優しくて……。

 「命より大切な~♪」はじめ聞いたときびっくりしてしまった。52巻ですか?? 一人で生き抜くより仲間が、サスケが大事なんだな……。そういうところだぞ。原作でもそうだけれど片思い感増し増しでしたね。

 光追いかけてもカテコも最高でした……。ヤマトとサイがわちゃわちゃしていた。サスケ踊るときその位置なのね。個人的にびっくりした。あ、そこなんだ……。

 もっといろいろあったはずなのに、一回目はこんな記憶しかなかった。照明のスモークが上品で、素敵だなという謎の視点。ほんとうにきれいだった、照明。

 見終えたあと、なぜだか絆が見たくなって次の日見てしまったのは別の話です。そして次の週の当日券を買った。

 

 タイトルをそろそろ回収しなければならない。理性という名の自己解釈こじらせ原作厨が現れてしまったのです。見た直後は多幸感にあふれていて気にならないのですが、日数が経つとところどころの解釈違いに悩まされました。とはいえもう一度見たいという気持ちは冷めず、結局二回目劇場入りするのですが。

 ただ、この二回目がけっこう苦しかった。前の日に原作を読み返したのもあるんでしょうね。展開が分かっている分、冷静に見てました。

 2階で全体がよく見えたこともあり、技術面に目が向いていた気がします。照明と音がきっちり合うとすごく気持ちがいいですね……。特にオープニングのサスケのところで一瞬止まってまた動き出すところ。照明がバチっと決まってて鳥肌立ちそうになりました。オートかもしれないけれど、すごい。ここは舞台上の照明でここはピン、とかよく分かりましたね。舞台上ののみだと一幕ラストみたいに影ができてかっこいいんですよね~。客席側の照明は、舞台上がより暗くなる効果があって、うまく利用してるなと思いました。

 サスケの殺陣がすごくきれいでした……。所作に無駄がないというか。鞘に入れるまでがスムーズで、美しいなと。ちょっとかじったことありますが、あれ、きれいに入れるのなかなか難しいんですよ……。

 記憶があいまいだった二幕から。「同じ空気吸えるって~」二回目ですが奥さん? 今回は反応もらえてたよかった。

 重吾のところに行く前、突然座り込んでうなだれるからびっくりしてしまった。休憩中ね……。水月が寝転んで、それを叩き起こす香燐ちゃんがかわいかったし、そのあと手を払ってて演技が細かい、と思った。

 キバにバンバン背を叩かれてるナルト……。わちゃわちゃしてたからデイダラさんあんまり見れてません。一番目立つ所でしてたのに、香燐ちゃんとサクラちゃんがすれ違うのを二回目にして初めて見た……。前回何をしてたんだ私は。

 「なぜお前がサスケの服を持ってる」「なぜお前が」不覚にも笑ってしまった。前回は2回言ってなかったはず……。

 一番しんどかったのは、ナルトとイタチさんのラストの会話です。1週間前は優しかった声が涙をこらえてるような声になってるんですけど?! どうしよう感情だだ漏れだよと放心してしまった。どうしたの? という気持ちでいっぱいだった。強い感情に感化されて泣いてしまったのだけれど、理性が、理性が違うと訴えていてかなり板挟みでしたね。

 どこが解釈違いだったかの話をしよう。どこというより全体なのですが、舞台という特性上感情をのせる場であるから仕方ないとは分かっていても、淡々とした声のところに感情がのっているのがちょっと辛かった。考えさせるより感じさせるがメインだと分かっているので否定するつもりはありません。あくまで個人的な思いです。一番しんどいのはサスケが最後泣くシーン。声を上げるのは、まだ許せる。けどうずくまって泣くのは私の理性が許さないのです。すまない……。強くあろうとする姿勢は崩さないでほしい。人一倍強がりなサスケであってほしいんだ……。

 

 これだけ言っておいて、もう行かないとなるかといえばそうではないから不思議。苦しむと分かっていて行く私はマゾなのでは? でも、見届けたい気持ちは強くて、今日千秋楽行きました。ライビュですが。

 三回目にしてオープニング、ナルトを避けるサスケに気づく。私の目は節穴か? ここまでくると自分の目が信じられなくなってくる。見回しすぎて何も見えていないパターンですね。

 実は一部初演で見たとき忘れられないシーンがあるんですけどDVDでは変わっていて、私の記憶違いか否か判別できずにいます。サスケがナルトを覗きこむシーン、原作どおりでした? 教えて梅田で見た人……。

 閑話休題

 オープニングのサスケの位置もそこか……。などと思ってました。

 ナルトの「お前とだって組んでやる」、前は感情こもってた気がするけど今回静かでしたね……。好きです。サスケの「だが」と「くれてやる」、杉山さんぽさがあって静かに興奮していました。

 カブトさんのポニーテール、首回り高いから正面から見ると原作のしっぽに近いことに気づきました。まさかそこまで計算している、ことはないと思うけど……。

 あとこれはライビュ特有なのでしょうが、舞台が明るい状態でスクリーンに投影された映像が見えづらい。舞台が暗いと気にならないのでたぶん光源の弱さが原因かなと。

 二幕。

 「一つ言っとくことがある。オレのサクラちゃんへの愛はとどまることを知らない」よっナルト! ってなってしまった。どこで覚えたのそんな言葉……。殴られてる時とか修行でぐったりした時とか細かいところでちょこちょこ言ってるのがすごくかわいかった……。

 デイダラ戦終えたあとのサスケ「思った以上のやり手でな」(原作はこのセリフだけど「なかなかのやり手だった」かもしれない。あやふや)前は悔しそうな感じで言ってたところが淡白でよかったな。

 三回見ただけなのにここまで違いがあるとは思っていませんでした。四回五回行った人はもっと違いを見ているんだろうな……。舞台通いが癖になる気持ちが分かる気がします。

 今回イタチさん感情だだ漏れだった気がする。今まで以上に。サスケが泣きながら歌ってるところにかぶせる歌声も泣き声っぽかったし、「これで最後だ」そんなに泣いてたっけ……。いや泣いてない気がする。もしかして公演を経るごとに感情を上乗せしてる? なんか、こう、理性を押しのけていく強い感情の波に押し流されてしまって頭が真っ白になってしまった。そんな人間味のある生々しい表情を見せられると、こう、生身の人間が演じている舞台ならではって感じですごいな……。絵にすると興ざめになりそうなところをこうまで客を乗せてくるとは……。うまいな……。

 ナルトとの会話も、泣きそうってレベルじゃないよ泣いてるよ。つらいよ。

 私なりに思ったこととして、舞台は原作で押し隠していた感情を表現した結果なのかなと。一解釈ではあるけれど、内心をさらけ出した生の人間、うちはイタチがそこにはいた。ああ、これはNARUTOと言いつつ、うちはイタチという男の生き様の物語だなと思ってしまった。

 カテコの話。とても細かいことだけれど、あいさつの時イタチさんが「カカシさん」呼びしてた(してた、よね? 不安だ)のが好きで。舞台上では会話がなかったのが悔やまれる。「絶対ないから」と言ってたけど58巻とか61巻とかをやれば……。「鷹をやりたい」と言ってた流司さんの言葉が嬉しかった。一部の千秋楽の時もニ部やりたいって言ってましたね。「『雷鳴と共に散れ』とか『この目は闇がよく見える』とか言いたい」と。前者は叶ったのであとは後者ですね……。

 私、個人的には広大くんの成長がすごくてびっくりしたんですよ。実は同い年なのでとても親近感があって、ついくん付けしてしまうのですが。なんだか4年の間に貫録がついていて、本当すごいなあって……。

 ナルステ、理性と感情に挟まれて苦しみつつも見に行ってしまったのは、ひとえにスタッフさんとキャストさんの頑張りを見てしまったからでもあります。本当に努力していることが伝わってきて、それだけで泣きそうになる。「サスケが200公演目」と流司さんが言っていたけれど、それが確かなら七班とあと大蛇丸様も200公演ということでは……? そう思うと感慨深いですね。残念ながら間は見れていないのですが。

 なんかこう、いろいろ思うけれど、結局は好きだなあという気持ちに帰結してしまう。好き勝手言ってごめんなさい。それでも私はナルステが大好きです! 本当にありがとうございました!! 中国公演も応援しています。

 

12月8日追記:帰り道に「忍び耐える者に~」を口ずさんでいてふっと思ったこと。これ、自来也さんの言葉じゃん……。今まで気づかなかった自分が馬鹿だ。あの舞台にはいなかったけれど、こういうところで意志が生きてるの最高だなって思いました。立場は違えど、「後に託す」という選択をしたイタチさんは最後まで木ノ葉の忍だったんだなとしみじみ思いましたね……。