とかげ手帳

手帳の中身のおすそわけ

さよなら北の大地

 今日、段ボールの山とさよならしましたビブロンです。今日も今日とて雪が降っている。

 いよいよこの地から離れるのだなあ、と思うと感慨深いものがあります。入学早々吹雪いたり、膝まで雪に埋まりながら大学に向かったり、停電して二宮金次郎のような生活を送ったり、カラスに頭をどつかれたり、あらゆるところで試されたのも今となってはいい思い出。

 幼児だった私にとってあこがれの地だったこの場所に住めて、本当によかったなと思います。映画館や新刊書店が近くになくて悲しかったけれど、なんとか生きてこれました。スクリーンがなければ空を見ればいいじゃない、と言わんばかりに夕焼けと夜空が美しかった。

 寒さにはいまだ慣れなくて、完全防寒しないと外には出れません。瀬戸内育ちにはつらい気温だった……。雪が積もった方がすべることがなくて安全だということを初めて知りました。冬の旅行は勇気がいりますが、一度は訪れてほしい。なんたって電車移動中の車窓からの風景がきれいです。雪の白さに負けないカラフルなおうちがたくさん並んでいて、日本じゃないような気分になります。雪がないときに、なんでこんなに屋根がビビットな色合いなんだろうと思ってましたが、冬になってその意味がわかります。地味な家は白さに埋もれて見えにくくなるからだと。

 ろくに観光していないし、すべての魅力を知った、とは言えません。でも、聞いたことのない魚を食べる、水たまりから白い湯気のようなものが出てるのはなんでだろうと疑問に思う、突然聞こえてきたニワトリの鳴き声に驚くなどいろんな発見がある生活は楽しかったです。これから都民になるのが信じられない。

 この地とは逆の自然とは縁遠い生活になるけれど、その分別の楽しみ方ができるかな、と考えています。たくさんの人間の営みを観察したい。イベントにも参加したい。日々新しいことに挑戦をしていきたい。

 

 さよなら北の大地、はじめまして大都会。